あなたは「ネギの植え替えっていつ、どうやればいいの？」と思ったことはありませんか？結論、ネギの植え替えは草丈30～40cmになった時期が最適で、正しい手順で行えば太くて美味しいネギが育ちます。この記事を読むことで植え替えの最適なタイミングから具体的な手順、失敗を防ぐコツまでがわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1. ネギの植え替え時期の基本知識
長ネギと葉ネギの植え替え時期の違い
長ネギと葉ネギでは植え替え時期が大きく異なります。
長ネギ（根深ネギ）の場合、春まき栽培では3月中旬～3月末に種をまき、7月初旬頃に植え替えを行います。
秋まき栽培では9月中旬～9月末に種をまき、翌年4月初旬頃に植え替えます。
一方、葉ネギは植え替えの必要性が低く、直播栽培が一般的です。
ただし、九条ネギなどの分けつする葉ネギは、春（3～4月）と夏（7～8月）に株分けを兼ねた植え替えを行うことで、継続的な収穫が可能になります。
長ネギは軟白部を長く育てるため深い溝に植える必要がありますが、葉ネギは浅植えで十分なため、栽培方法も大きく異なることを理解しておきましょう。
春まき・夏植えと秋まき・春植えの選び方
ネギの植え替え時期を決める際は、収穫時期と地域の気候を考慮することが重要です。
春まき・夏植えの作型では、12月～2月末頃の寒い時期に収穫できるため、ネギが甘くなって最も美味しい時期の収穫が可能です。
寒さに当たることでネギの糖度が上がり、辛味が和らぐため、この作型が最も推奨されます。
秋まき・春植えの作型は、9月初旬～11月末頃に収穫でき、夏の暑い時期を避けて栽培できるメリットがあります。
ただし、春になるとトウ立ち（花芽分化）の危険性があるため、晩抽性品種を選ぶか、早めの収穫を心がける必要があります。
初心者には春まき・夏植えの作型をおすすめします。
なぜなら、苗の生育期間中の管理がしやすく、冬の美味しいネギを収穫できるからです。
草丈30～40cmが植え替えの目安
ネギの植え替えタイミングは草丈で判断するのが最も確実です。
種から育てた苗が草丈30～40cm程度に成長した時期が植え替えの適期となります。
この時期の苗は根系が十分に発達しており、移植によるストレスに耐えられる体力を持っています。
苗が小さすぎる（草丈20cm未満）時期に植え替えると、根付きが悪く枯れる可能性が高くなります。
逆に、大きくなりすぎた苗（草丈50cm以上）では根が老化し、活着率が低下する傾向があります。
また、苗の太さも重要な指標で、鉛筆程度の太さ（直径5～7mm）があることが理想的です。
植え替え前には苗の状態をよく観察し、病気や害虫の被害がないか確認しましょう。
健全な苗を選んで植え替えることが、その後の生育を左右する重要なポイントです。
気候変動を考慮した植え替え時期の調整
近年の気候変動により、従来の植え替え時期では失敗するケースが増えています。
特に夏の異常高温や梅雨時期の長雨は、ネギの植え替えに大きな影響を与えます。
従来7月初旬が適期とされていた夏植えも、猛暑日が続く年は7月下旬～8月上旬にずらすことを検討しましょう。
逆に、冷夏の年は例年より早めの植え替えが可能な場合もあります。
植え替え前後2週間の天気予報を確認し、連続した晴天日や極端な高温日を避けることが重要です。
また、ゲリラ豪雨が多発する地域では、排水対策を万全にしてから植え替えを行いましょう。
地域の農業指導センターや先輩農家の情報も参考にして、その年の気候に合わせた柔軟な時期調整を行うことで、植え替えの成功率を高めることができます。
2. ネギの植え替え前の土作りと準備
水はけの良い畑選びと排水対策
ネギ栽培の成功は土作りから始まります。
ネギは湿害に非常に弱い作物のため、水はけの良い畑選びが最も重要なポイントです。
理想的な畑は、雨が降った翌日には表面の水が引いている場所です。
水が溜まりやすい低地や粘土質の強い畑は避け、やや高台で傾斜のある場所を選びましょう。
既存の畑しか使えない場合は、排水対策を万全に行います。
畑の周囲に深さ30～40cmの排水溝を掘り、雨水を速やかに排出できるようにしましょう。
また、畝は通常より高く（20～30cm）立てることで、根部の排水性を向上させることができます。
粘土質の土壌の場合は、堆肥やパーライト、川砂などを混ぜ込んで土壌改良を行います。
排水テストとして、30cm四方、深さ30cmの穴を掘り、水を満たして24時間以内に水が引くかチェックしてみましょう。
土壌酸度調整（pH6.0～6.5）の仕方
ネギは酸性土壌を嫌うため、適正なpH値に調整することが必要です。
ネギの最適なpH値は6.0～6.5の弱酸性から中性です。
まず、土壌酸度測定器やpH試験紙を使って現在の土壌酸度を測定しましょう。
pH値が5.5以下の酸性土壌の場合は、苦土石灰または消石灰を施用して中和します。
一般的には、1㎡あたり100～150gの苦土石灰を施用しますが、正確な量は土壌検査結果に基づいて決定しましょう。
石灰は植え替えの2～3週間前に施用し、土とよく混ぜ合わせた後、時間をおいて土壌のpHを安定させます。
石灰施用直後の植え付けは根を傷める可能性があるため、必ず期間を空けることが大切です。
逆にpH値が7.5以上のアルカリ性土壌の場合は、硫黄華やピートモスを施用してpHを下げます。
定期的な土壌検査を行い、毎年適切なpH管理を継続することで、ネギの生育環境を最適に保つことができます。
植え溝の深さ30cmと幅15cmの掘り方
長ネギの植え替えでは、専用の植え溝を掘ることが必須です。
標準的な植え溝は、深さ30cm、幅15cmで作ります。
この深さがネギの軟白部の長さを決定する重要な要素となります。
溝掘りは植え替えの2～3日前に行い、土を落ち着かせておきます。
クワを使って少しずつ土を掘り上げ、溝の壁面が垂直になるよう丁寧に整形しましょう。
掘り上げた土は溝の両側に積み上げ、後の土寄せ作業で使用します。
溝の底は平らにならし、水が溜まらないよう軽く傾斜をつけることも大切です。
幅の狭い溝では土寄せ作業が困難になり、幅が広すぎると土寄せに必要な土量が不足します。
また、溝の長さは栽培する株数に合わせて計算し、株間5cmで必要な長さを確保しましょう。
複数列作る場合は、列間を60～80cm空けて作業スペースを確保することで、その後の管理作業がしやすくなります。
畝立てと土締めのタイミング
ネギ栽培では畝立てと土締めのタイミングが収穫量に大きく影響します。
畝立ては植え替えの1週間前に行い、土を自然に締めておくことが重要です。
急いで畝を立てて直ぐに植え替えを行うと、土が緩いため植え溝の壁が崩れやすくなります。
畝の高さは20～25cmを目安とし、幅は90～100cmで作ります。
畝立て後は、雨に当てて自然に土を締めるか、軽く足で踏み固めて安定させましょう。
ただし、過度に踏み固めると排水性が悪くなるため、適度な締まり具合を保つことが大切です。
土締めの程度は、手で押してもほとんど凹まない程度が理想的です。
また、畝の表面は植え替え直前に軽く耕して、細かい土の層を作っておきます。
これにより、苗の根と土の密着が良くなり、活着率が向上します。
畝間は30～40cmの通路を確保し、土寄せや追肥などの管理作業がしやすい構造にしておきましょう。
3. 失敗しないネギの植え替え手順
苗の掘り起こしと根の処理方法
ネギの植え替えでは、苗の掘り起こし方が成功の鍵を握ります。
苗床から苗を掘り起こす際は、根を傷めないよう丁寧に行いましょう。
まず、苗床に十分な水をかけて土を軟らかくし、根と土の分離をしやすくします。
移植ゴテやスコップを使って、苗の株元から10cm程度離れた場所から掘り始めます。
根を切らないよう注意しながら、少しずつ土を掘り進めて苗を取り出しましょう。
掘り起こした苗は、古い葉や枯れた根を取り除いて整理します。
根の長さは10～15cm程度に揃えてカットし、植え付け時の作業を効率化します。
根が長すぎると植え穴の底で曲がってしまい、生育不良の原因となります。
苗の選別も重要で、病気や害虫の被害がある苗、極端に細い苗は除外しましょう。
処理した苗は乾燥を防ぐため、湿らせた新聞紙で包んで日陰に保管し、できるだけ早く植え付けることが大切です。
5cm間隔での植え付けと浅植えのコツ
ネギの植え付けでは、適切な株間と植え付け深度の管理が重要です。
株間は5cm程度と密植にすることで、互いに支え合い、まっすぐで太いネギに育ちます。
植え溝の壁面に苗を立てかけるように配置し、苗がまっすぐ立つよう調整しましょう。
植え付け深度は浅植えが基本で、根が隠れる程度に留めることが大切です。
深植えしすぎると根の酸素不足を招き、生育が悪くなる原因となります。
苗を植え溝に立てたら、周囲の土を軽く寄せて根元を固定します。
この時、強く押し付けすぎないよう注意し、根と土が軽く接触する程度に調整しましょう。
植え付け後は苗が倒れないよう、支柱を立てるか、隣同士の苗で支え合うように配置します。
一度に大量の苗を植える場合は、植え付け順序を工夫して効率よく作業を進めましょう。
植え付け完了後は全体を見回し、傾いた苗があれば早めに修正することで、均一な生育を促すことができます。
稲わらによる根元の保護と通気確保
ネギの植え替え後は、稲わらによる根元の保護が生育を大きく左右します。
稲わらは苗の根元に10～15cm程度の厚さでたっぷりと敷きましょう。
この稲わらマルチには、土壌水分の保持、通気性の確保、雑草抑制など複数の効果があります。
稲わらを敷く際は、苗の株元を完全に覆わず、生長点（新芽の出る部分）は露出させておきます。
また、稲わらの向きを互い違いにして敷くことで、マルチ層の安定性が向上します。
稲わらが手に入らない場合は、麦わらや刈り草、バーク堆肥などで代用できます。
ただし、未熟な有機物は分解時に窒素を消費するため、完熟したものを使用しましょう。
マルチ材は風で飛ばされないよう、所々に土をかぶせて固定します。
梅雨時期など多湿になりやすい時期は、マルチを薄めにして通気性を重視し、病気の発生を防ぎましょう。
定期的にマルチの状態をチェックし、腐敗した部分があれば新しいものと交換することが大切です。
植え替え後の水やり不要ルール
ネギの植え替え後の水管理は、他の野菜とは大きく異なる特徴があります。
基本的に、植え替え直後の水やりは不要で、むしろ控えることが重要です。
これは、ネギが過湿を嫌う性質と、根の活着を促進するためです。
植え替え直後に水をやりすぎると、根腐れや病気の原因となる可能性があります。
苗がしおれない限りは水やりを控え、自然の降雨に任せましょう。
ただし、植え替え後1週間以上雨が降らず、苗が明らかにしおれている場合は、朝の涼しい時間帯に軽く水やりを行います。
水やりする際は、株元にではなく、周囲の土壌に水をかけるようにしましょう。
また、夏の高温期は水やりのタイミングに特に注意が必要で、日中の水やりは根を傷める原因となります。
プランター栽培の場合は土壌の乾燥が早いため、表土が乾いたら適度な水やりを行いますが、やはり過湿にならないよう注意が必要です。
植え替え後2～3週間経過し、新しい根が発達してきたら、通常の水管理に移行しましょう。
4. 植え替え後の管理とよくある失敗対策
スパルタ栽培による太いネギの育て方
スパルタ栽培は、あえてネギにストレスを与えることで太く丈夫なネギを育てる特殊な栽培方法です。
この方法では、苗を一度植え替えた後、さらに夏場（7～8月）に再度植え替えを行います。
移植時に根が切れることで、ネギは新しい根を張ろうとして活力が増し、結果的に太いネギに育ちます。
スパルタ栽培を行う際は、1回目の植え替えから60～80日後に2回目の植え替えを実施します。
この時期は気温が高いため、植え替え作業は早朝や夕方の涼しい時間帯に行いましょう。
再植え替え時は、根を3分の1程度カットし、古い下葉も取り除いて株をリフレッシュさせます。
植え替え後は通常以上に遮光や水分管理に注意し、活着するまでの1～2週間は特に丁寧な管理が必要です。
スパルタ栽培は上級者向けの技術で、失敗のリスクも高いため、まずは通常の栽培方法で経験を積んでから挑戦することをおすすめします。
成功すれば、通常の2倍以上の太さのネギを収穫することも可能です。
干しネギ栽培での特殊な植え替え技術
干しネギ栽培は、ネギの休眠性を利用した伝統的な栽培技術です。
この方法では、7月下旬に一度ネギを掘り上げ、1ヶ月間乾燥させた後、8月下旬に再植え付けを行います。
干しネギ栽培には九条ネギなどの葉ネギ系品種が適しており、長ネギでは実施できません。
掘り上げたネギは数株ずつ束ねて、雨の当たらない風通しの良い場所で乾燥させます。
乾燥期間中は葉がカラカラになりますが、これは休眠状態であり枯死ではありません。
再植え付け前に枯れた葉を取り除き、根部を20cm程度に切り揃えて準備します。
植え付け間隔は通常より広く、15～20cm程度とし、やや深めに植え付けます。
植え付け後約10日で新芽が出始め、その後は急速に生育して柔らかく美味しいネギになります。
干しネギは一般的なネギよりも甘みが強く、特有の食感が楽しめる高品質なネギとして重宝されます。
この技術をマスターすれば、夏の端境期にも新鮮なネギを供給することができます。
過湿による根腐れと葉先枯れの防止法
ネギ栽培で最も多い失敗原因が過湿による根腐れと葉先枯れです。
特に梅雨時期や秋雨前線の影響で、土壌が長期間湿った状態が続くと根腐れが発生しやすくなります。
根腐れの初期症状は葉先の黄化や枯れ込みで、進行すると株全体が萎れて枯死します。
予防策として、まず排水対策を万全にし、高畝栽培を心がけましょう。
また、土寄せ時に根元まで完全に埋めてしまうと酸素不足を招くため、適度な土寄せ量を守ることが重要です。
葉先枯れが発生した場合は、まず水分管理を見直し、土壌の過湿状態を改善します。
軽度の葉先枯れであれば、枯れた部分を切り取ることで回復が期待できます。
病気による葉先枯れの場合は、べと病や黒斑病などの可能性があるため、適切な薬剤散布を行います。
多湿期には予防的に殺菌剤を散布し、株元の通気性を良くするため定期的な中耕を実施しましょう。
また、密植しすぎると風通しが悪くなるため、適切な株間を保つことも重要な予防策です。
連作障害を避ける畑のローテーション
ネギは比較的連作障害の少ない作物ですが、長期間同じ場所で栽培を続けると生育不良が起こる場合があります。
理想的には2～3年の輪作サイクルを組み、土壌環境をリセットすることが望ましいです。
ネギの後作には、マメ科植物（エンドウ、ソラマメ、大豆など）を栽培すると土壌の窒素固定効果が期待できます。
また、アブラナ科野菜（キャベツ、ダイコン、ハクサイなど）との輪作も相性が良いとされています。
同じ場所で連作する場合は、収穫後に緑肥作物（クロタラリア、ソルゴーなど）を栽培して土壌改良を行いましょう。
土壌診断を定期的に実施し、養分バランスの偏りや有害物質の蓄積をチェックすることも大切です。
連作により土壌病害が発生した場合は、太陽熱消毒や土壌改良材の施用で対策を講じます。
また、ネギには拮抗菌が共生しているため、他の野菜のコンパニオンプランツとして利用することで、畑全体の病害虫抑制効果が期待できます。
計画的な作付けローテーションにより、持続可能なネギ栽培を実現しましょう。
まとめ
この記事で解説したネギの植え替え時期と仕方のポイントをまとめます：
• 植え替えの最適時期は苗の草丈が30～40cmになった時で、春まき栽培なら7月初旬、秋まき栽培なら4月初旬が目安
• 土作りでは水はけの良い場所を選び、pH6.0～6.5に調整して深さ30cm・幅15cmの植え溝を準備する
• 植え替えは5cm間隔の密植で浅植えが基本、稲わらマルチで根元を保護し通気性を確保する
• 植え替え後の水やりは基本的に不要で、過湿を避けることが根腐れ防止の鍵
• スパルタ栽培や干しネギ栽培などの特殊技術で、より高品質なネギを育てることができる
• 葉先枯れの多くは過湿が原因のため、排水対策と適切な土寄せ量の管理が重要
• 連作障害を避けるため2～3年の輪作サイクルを心がけ、土壌診断も定期的に実施する
これらのポイントを押さえてネギの植え替えを行えば、太くて美味しいネギを安定して収穫できるはずです。最初は失敗することもあるかもしれませんが、経験を重ねることで必ず上達します。ぜひ今回の知識を活用して、美味しいネギ作りにチャレンジしてみてくださいね。
